2013.09.11

どうぶつ貯金箱さん

みなさま、こんにちは、小鳥チュンです。

 

本日のインタビューはどうぶつ貯金箱さんです。

お金を貯め込み夢を膨らませる希望のはらわた。

一見つながりの無いように思えるどうぶつとお金の関係とは。

挫折と諦念と達成を目の当たりにしたとき、彼らは何を思うのか。

一度開けたら二度と使えない現代の零戦。

特攻の果てにあるのは溢れ出る金塊か、雀の涙の端金(はしたがね)か。

お金を入れる穴からそっと覗くように、その真相に迫っていきます。

 

 

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(誰一人カメラを向かないどうぶつ貯金箱さん)

 

 

─どうもこんにちは!

 本日はよろしくお願いします!

 

よろしくお願いします。

 

─お忙しい中、みっつも来ていただいてありがとうございます。

 

いえ、だいぶヒマなんで。

 

─それでは、インタビューに入らせていただきたいと思います。

 まず、どうぶつ貯金箱さんの生い立ちを教えてください。

 

生い立ちですか。

まあ理由はいろいろありますが、やっぱりみなさん動物好きじゃないですか。

ただの箱とかよりも愛着が湧きますし、身近に感じられますよね。

僕たちみたいなタイプの貯金箱は、一度開けたらもう使えません、っていう感じなので、

そういうときにやっぱり、普通の箱とかより壊しにくいでしょう。

金属の円柱みたいなかたちのものが流行ったときがありますけど、

あんなのみんなこじ開けてたじゃないですか。

10万円貯まる!とか書いてあるだけのただの箱で、結局貯まる前に開けてしまうんだったら、

それなら貯まる額に関係なくかわいい動物さんの方がいい。

そう考える人が多くいるから、僕たちが生まれたんだと思います。

 

─確かに、金属だとこじ開けることにあまり抵抗はないですね。

 どうぶつ貯金箱の中で、ブタのかたちをしたものが多いですが、理由を教えてください。

 

これも諸説ありますね。

形がまるまるしてちょうど良かったからとか、職人が失敗した形がブタに見えたとか。

正確なところは僕たちにもわかりません。

ですが、きっとブタが感覚的にちょうど良かったんだと思います。

例えば鳥の貯金箱だったら飛んでいってしまいそうですし、

ネコの貯金箱だったらどこかに逃げていってしまいそうです。

犬ならなんかかわいそうですし、牛だと反芻して粉々になりそうな気がします。

ブタだと動きも鈍くて逃げる事はないし、よく食べてまるまる太るので、

いっぱい貯まってくれそうですよね。

そんなところだと思います。

 

─黄色の方は象ですが、何かブタとは違う意味はあるのでしょうか?

 

えっ?

 

 

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(「えっ?」)

 

 

─やっぱり象のほうが大きくていっぱい入るとかでしょうか?

 

えっ…?

象…?

 

─あれ…、もしかして自分で気付いてないんですか…?

 

えっえっ…。

僕ブタじゃないんですか……?

 

─…象ですよ……。

 

…。

 

─それではどうぶつ貯金箱さんの日常を教えてください。

 

ハイッス.

そうですね。

たまにお金が入ってくるのをひたすら待ってるだけです。

やることがないときは中のお金を数えたりしてます。

 

─わりとおヒマなのですね。

 

そうなんです。

でも、人によってお金を入れる頻度がかなり差があります。

一日何回も入れてくれる人なんかもいますが、そういうときは張り合いがありますね。

貯まれば貯まるほど貯金箱としての寿命は無くなっていきますが、

空っぽなままでいるよりかは何倍も良いです。

 

─そうですよね、お金を入れられるほど開けられる時期も早まりますね。

 終わりが来ることは恐くはないのでしょうか。

 

まぁ正直、恐いですね。

喜びと不安が硬貨と一緒に膨らんできます。

別に死にたくないわけではないのですが、これで終わりだと思うと、やっぱり寂しいじゃないですか。

なるべく長い間、おなかの中の硬貨達を守って行きたいですね。

 

─やっぱり入れられたお金には愛着が湧くのでしょうか。

 

ある程度は、湧きますね。

あまりよくない感情なのでしょうが、離したくないと思ってしまいます。

あと、入れられたお金というのは、みんなすごく寂しがっているのです。

もっと流通していたい!

人の手から手へと渡っていきたい!

社会の血液としてもっと働きたい!

みんなと一緒にジャラジャラ音を立てたい!

そう思っているのに、こんなところに閉じ込められて……。

彼らはとても可哀想なのです。

だから、僕たちは念じるのです。

だいじょうぶだよ……。

おれはここにいるよ……。

ずっと守ってあげるよ……。

って。

通じませんけど。

 

 

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(「通じませんけど」)

 

 

─ほぅ…、確かにそうですよね。

 硬貨からしたら隔離されて閉じ込められていますよね。

 

だからほんとうは小規模な貯金なんかするもんじゃないのかもしれません。

貯めるなら銀行に預けて、ちゃんと彼らをお金らしく放った方が良いのでしょう。

なので、なんというか、僕たちは人間のエゴですね。

満足感を得るための、ブタの形をしたプリズンです。

 

─プリズン?

 

檻です。

お金を閉じ込めるための、牢獄。

 

─なるほど、プリズン…。

 

はい、プリズンです。

 

─ブレイクされることはあるのでしょうか?

 

プリズンブレイクですか?

 

─はい、プリズンブレイク。

 お金が脱走する、みたいなケースは。

 

そうですね、ごくたまにありますね。

もちろんお金が勝手に逃走することはありません。

持ち主以外の人間が抜き取って行くケースが、ほんとうにたまにですが、あります。

 

─詳しく教えてください。

 

大体、小さいお子様なんかが多いですが、固い紙とかカードとか針金とかを入れる口から突っ込んで、こう、ひっくり返して抜き取ろうとしますね。

僕たちもお金を守るのが使命なので必死で抵抗します。

まあ必死で抵抗するといっても念じるだけですけどね。

やめろ……!

するでない……!

するでないっ……!!

って。

通じませんけど。

 

 

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(「通じませんけど」)

 

 

─やっぱり抜き取られたときは悔しいのでしょうか?

 

うーん…、これはどうなんですかね。

ちょっと、爽快感みたいなものもありますね。

抜き取ること自体、難しいことなので、それを目の当たりにすると、いいもの見たなって気になります。

それと、そもそもあのお金は僕たち貯金箱のものではなく、持ち主のものですから。

なので、抜き取られたとしても僕たち自身はなんとも思わないんですよね。

むしろお金の立場に立ってみると、お金として使われることが嬉しいとも思います。

あんまり大きな声では言えないんですけど。

 

─お金と人間の両方の中間の立場にいる、という感じですね。

 

そうですね。

でももちろん、人間の方も、僕たちにとって大事な存在です。

マジで、リスペクトしてます。

感謝して進む荒れたオフロードです。

 

─なるほど、若干媚びてる感じがしますね。

 貯まったお金がいっぱいになった時の気持ちを教えてください。

 

もうほとんど疲れきってますね。

長い時間が経っている場合がほとんどなので。

最後の一枚が、こう、中がつまって入らなくなったとき。

長い時間をかけたマラソンがようやく終わった、という感じになります。

本当はその満杯に詰まった状態でずっといたいのですが、やはり貯まったと同時に開けてしまうひとが多いので、ほんとうにほんの一瞬ですね。

満足感が得られる時間というのは。

すぐに開けられて、また空っぽになってしまいます。

その時は内臓が全部無くなったみたいに軽くなって、寂しくなります。

 

─開放感、みたいなものはないのでしょうか?

 

うーん……、なんていうんですかね。

開けられた時点でもうほとんど抜け殻みたいになってるんですよね。

魂になっているというか。

肉体がごっそり抜け落ちた、っていう感覚ですね。

半分召されてます。

 

─そこでもう、いわゆる死、みたいなものが訪れているわけなんですね。

 

そうですね。

でも、問題はその後なんです。

使命を果たし終わった僕たちをちゃんと処分してくれれば良いのですが、

中には捨てずに部屋の飾りとして置いたままにする人がいます。

それがもう、永遠の苦痛ですね。

 

 

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(辛辣な面持ちのどうぶつ貯金箱さん)

 

 

─捨てられた方が良い、ということですか?

 置いておかれた方が、なんとなく良い気がしますが。

 

だってもう、僕たちの役目は終わってるんですよ?

もう貯金箱として使う事もできないし、何もできることがない。

それなのに部屋に置かれて、それこそ拷問ですよ。

僕たちはインテリアとして生まれたんじゃないんです。

お金を貯める貯金箱として生まれたのです。

もう捨てるタイミングさえなくなってしまうじゃないですか。

それがほんとうに地獄の始まりですね。

 

─なるほど。成仏できない、みたいな感じでしょうか。

 

そうです、死んだ人間をそのまま放置するようなものです。

なので、使い終わった貯金箱を飾ってるアナタ、すぐに捨ててしまってください。

そして新しい貯金箱を買って、またお金を貯めるのです。

そしてまた貯まったら、お世話になってる人にプレゼントを買うのです。

普段は買わないマカロンなんかをプレゼントしましょう。

 

─マカロンですか。

 

ホカロンでもいいです。

 

─それでは単発質問コーナーにいきたいと思います。

 

チェケ.

 

─お金の代わりに入れられるなら何がいい?

 

お金の代わりですか…?

あそこのサイズから考えるとそうですね…。

酢こんぶですね。

スッと入れてもらいたいです。

 

─将来の夢は?

 

金庫です。

札束をはらわたに組み込みたい。

 

─生まれ変わるなら何になりたい?

 

レジです、レジスターです。

お金の保管と流動が行われる憧れのステージです。

 

─どうぶつ貯金箱でお金を貯めている人に一言。

 

焦らず、くじけず、大切に。

 

─どうぶつ貯金箱でお金を貯め終わった人に一言。

 

そのお金全部使ってまたどうぶつ貯金箱買うのです!

 

─どうぶつ貯金箱でお金を貯められなかった人に一言。

 

信じてたのに……。

 

─読者の方に一言。

 

早く入れて〜。

 

─ありがとうございました!

 

ありがとうございました〜。

 

 

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(gifアニメではしゃぐどうぶつ貯金箱さん)