2013.12.04

消しゴムさん

こんにちは、小鳥のチュンでございます。

 

本日のインタビューは消しゴムさんです。

ステーショナリーの大黒柱である消しゴムさん。

文字通り身を粉(カス)にして働く彼ら。

すべての任務を終えたときは自分が消えるとき。

捨て身の覚悟で生まれてきた、そんなデスクトップの特攻隊。

机の上に、筆箱の中に、常にぽつんと佇むその心中やいかに。

 

 

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(重い雰囲気の消しゴムさん)

 

 

─どうもこんにちは!本日はよろしくお願いします!

 

どうも、よろしくですー。

 

─まずは消しゴムさんが普段何をして過ごしているのか、教えていただけますか。

 

そですね、まあ周知の通り、鉛筆やシャープペンシルで書かれた文字なんかをひたすら消しますね。

自分の身を削ってコスコスコスコスと。

それは結構ツラいです。

文字通り身を削りますからね。

それ以外のときは、特に何もすることなく、他のステーショナリーさん達とお喋りして過ごしています。

わりとみんなで和気あいあいとしているので、寂しいとかはありませんね。

ただペン類の方々なんかは仲間がいっぱいいて楽しそうなのですが、僕たち消しゴムは、二個以上が同じ空間にあることがあまりないので、まあ、そういう意味では寂しいです。

ペンケースにはペンがいくつも入ってたりしますが、消しゴムは一つの場合がほとんどでしょう。

まあ、寂しいというか、仲間がいて羨ましいなって、思います。

 

─文字を消すことについて、詳しく教えてください。

 

そうですね、おそらく使ってる方々は気づくことはないと思うのですが、かなりの恐怖です。

恐怖というか、絶望というか、ちょっと正確な言葉がわからないのですが、そんな気持ちでいっぱいです。

もちろん、文字を消すということ自体は僕たちの根源的な営みでもあるし、生まれてきた意味そのものでもあります。

そういう意味で使っていただけるのはとても嬉しいのですが、体が削れていく恐怖というか、そういうものと常に対峙している感じですね。

 

─恐怖というのは具体的に、どのようなものでしょうか。

 

なんていうんでしょうか、さっきまで自分の体の一部だったものが、黒くなってカスになってそこらへんに転がっているのを見ると、ああ、死ってこうやって近付いてくるんだ、と思います。

人間の方々は、時間が経つと自然に死が近付いていきますよね。

いわゆる寿命というやつで、いつか心臓が動くのを止めてしまうときが来ます。

でも、僕たち消しゴムは、そうではないのです。

時間がどれだけ過ぎても死ぬことはありません。

そのかわり、使われれば使われるほど、死に近くなります。

ゆっくり死んでいく消しゴムもあれば、早死にすぎて、あれアイツもう死んだの? っていうものもあります。

使う主や用途によって、寿命が変わってくるんですよね。

そうやって死を感じながら、日々を過ごしています。

まあでも、使われずにただ毎日を生き延び続けていくのは、死ぬことよりも怖いですね。

働かざるもの死ぬべからず、っていうんでしょうか。

ちゃんと最後まで働いたものにだけ死が訪れる、そんな消しゴムワールドです。

 

─なるほど、そんな心持ちだったとは知りませんでした。

 それでは、まずその使命である書かれたものを消す、という働きの中で、大変なこととはなんでしょうか。

 

うーん、そうですね。

やはりいろいろなものを消していくなかで、これムリだよ消えないよ、っていうものがあります。

すごい筆圧で書かれていたり、書かれてから何年も時間が経っていてこびりついてしまったものだったり、そもそも消えるようなものじゃないものを消そうとしていたり、いろいろな場合がありますが。

それをいつまでもコスコスやられることですね。

それが大変です。

もうコレとれないよ無理だよやめようよって言ってるのにやめてくれません。

まあ聞こえないから当たり前なんですけど。

そうやって無駄なコスコスを続けていくうちに自分の体が純白のまま削れていくのが、もう、なんか見るに耐えないですね。

使う側からしたらコンビニですぐに手に入る僕たちかもしれませんが、自分に達にとってはたった一つの体です。

かけがえのない命なのです。

それをこう、無駄に扱われるのは正直憤りを感じますね。


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(憤慨の消しゴムさん)


─消えない文字があるときは確かに、コスコスしてしまいがちですね。

 気をつけます。

 

もっとちゃんと謝ってほしいですね。

人間代表として。

 

─……。

 

あんまりこういう機会はないので、一度ちゃんと謝罪してください。

今まで無駄に死んでいった仲間たちに、ちゃんと、心からちゃんと。

 

─スンマセンデシタそれでは次に、カバーというか、ケースというか、消しゴムさんがまとっているそのーそれについて、教えてください。

 

あっえーとスリーブですかね。

無印良品の消しゴムにはスリーブと書いてあります。

これですね、まあこれは僕たちをいろいろなものから守る衣服みたいなものです。

これがないとわりとすぐにぼろぼろになってしまいますね。

他のプラスチックにくっついたり、溶けたり、汚れたり。

夏も冬もかかせません。

ただ使い終わる頃には捨ててしまいますよね。

それは正しい使い方なのですが、なんていうか、あ、もうすぐなんだ、って思います。

終わりが近付いてきてるんだ……って。

でも、逆にもう邪魔になるときもあります。

一応、消しゴムが小さくなったらスリーブも切って調整していただくことになってるのですが、それをしないまま使う人もいてですね。

コスコスしてるのにスリーブが邪魔になって余計に紙を傷つけちゃうということもありますね。

なので、良きタイミングで切ってください。

僕たち消しゴムの、最高のパフォーマンスのために。

なんつって。

 

─はい、なんつっていただきました。

 使う側からすると、消しゴムの角というのが結構重要というか、重宝するのですが、消しゴムさん自身はどう考えているのでしょうか。

 

角ですね、僕たちの体に数個しかない、大切な部分です。

なんていうんでしょうか。

処女、みたいな感じですね。

新品の消しゴムを平らな面から使う人はいません。

必ず角から使います。

その時、なんていうんでしょうか。

初潮、みたいな感じですね。

大人になるというか、成長するというか、けがされるというか。

まあ、とにかく、めでたいことです。

 

─めでたいのですか。

 

人間も、大人になると丸くなるって言うじゃないですか。

人間丸くなったな、みたいな言い方しますよね。

僕たち消しゴムも、いつまでもトガってられません。

丸くなって大人になるのか、大人になると丸くなるのかわかりませんが、そこらへんは人間と同じです。

なので、角を使われることはとりわけて悪いことではありません。

あまり大切にされすぎても、世間知らずな消しゴムになるだけです。

 

─なるほど、わかりました。

 それでは単発質問コーナーにいきたいと思います。

 

はいい。

 

─今までで一番辛かった思い出は?

 

シャーペンの芯で体中を犯されまくったことです。

 

─今までで一番楽しかった記憶は?

 

他の消しゴムとくっついて、長生きできたことです。

 

─今後、どんなものを消したい?

 

筆跡ごと消し飛ばしたいです。

 

─生まれ変わるならどんな消しゴムになりたい?

 

まとまるくん。

 

─消しゴムの方々にひとこと。

 

黒鉛とともに死す。

 

─消しゴムユーザーの方々にひとこと。

 

いつも最後まで使ってくれてありがとう。

 

─ありがとうございました!

 

ありがとうござましたー!

 

 

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(こってりつかれた消しゴムさん)