2013.08.28

蛍光灯さん

みなさまコンヌツワ、小鳥ツンです。

 

本日のインタビューはいつもお部屋の真ん中に、蛍光灯さんです。

あの絶え間なく光り輝くお部屋のパーソナル太陽。

そして暗闇を一瞬でかき消してしまう強靭なパワー。

それなのに我々をやさしくすっぽりと包み込んでしまう脅威の包容力。

抱かれたい光ナンバーワンの蛍光灯さん。

その光は何を照らし、そしてどんな影を生むのか。

光の奥に隠された素顔に迫っていきたいと思います。

 

 

 

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(ぽっかりと浮かぶ蛍光灯さん)

 

 

 

─どうもこんにちは!

 本日はよろしくお願いします!

 

……ワレワレハ、ヒカリ…。

 

─おっと…?

 どうかしましたか…?

 

…あっすみません、大丈夫です。

ちょっとあのー、降りてきちゃってました。

もう大丈夫です。

 

─あっそうでしたか。(ナンカメンドクセェ..

 それでは、インタビューに入らせていただきたいと思います。

 蛍光灯さんの日常について、教えてください。

 

はい、我々は、そうですね、まぁ点いてるか消えてるか、という感じですね。

もう我々にはどちらかしかない。

ゼロとイチのどちらかをひたすら行き来するだけです。

その間はありません。

生か死か、みたいなところでしょうか。

あ、いや、それは言い過ぎかもしれません、しかし、過言ではないかもしれません。

 

─言い過ぎかもしれないけど、過言ではないかもしれない。

 一体どっちなんでしょうか。

 

我々自身では判断しかねる問題ですね。

 

─はぁ…。

 その、ゼロとイチを行き来するというのは、どういう気分なのでしょうか。

 

そうですね、完全にオンとオフで別れているので、結構、体力と気力を消耗します。

徐々に切り替わる、というのではなく、瞬時にオン!になったりオフ!になったりするので、そうですね、一瞬も気を抜いていられない状態ですね。

緊張状態、こう着状態、そんな状態です。

神経を常に尖らせているので、わりとピリピリしていますね。

電気が通ってるだけに。

なんつって。

ね、ピリピリ、しちゃってますね。

 

─オンとオフの状態では、蛍光灯さん的にはどのように違うのでしょうか。

 

えっとそうですね、オンの時の方が疲れますけど、やっぱり輝いてることもあって、気分がいいです。

オフのときは、まぁ、軽く眠っている状態とでも言うんでしょうか。

仮死状態ですね。

コールドスリープです。

へぇ。

 

 

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(キャラが定まらない蛍光灯さん)

 

 

─輝いてる時の蛍光灯さんは素敵ですよね。

 

おっ? そうですか?

ありがとうございます。

やっぱり自分自身が輝いてるので自分ではわからないのですが、周りの人にそう言ってもらえると嬉しいですね。

僕の持ってるTポイントカードのポイント全部あげちゃいたいくらい嬉しいです。

 

─Tポイントカード、いくらくらい貯まってるんでしょうか。

 

そうですね、少なく見積もっても300ポイントくらいは貯まっていたと思います。

 

─オンの状態からオフになるときは、やはりがっかりするのでしょうか。

 

そうですね、がっかり、とかはないのですが、ひどく疲れます。

例えるならそうですね…、元気に走り回ってたのにいきなりピストルで撃たれるとか、そんな感じでしょうか。

それか、全速力で走る列車が前触れもなく速度がゼロになる感じですね。

体に悪いんです。

オフからオンもそんな感じです。

寝ていたら急に体中に電気を流されて目覚めるみたいな。

それか、速度ゼロの列車が急発進する感じですかね。

気持ちよりもまず、肉体的な負担が激しいです。

 

─確かに、言われてみれば、急に明るくなったり消えたりですもんね。

 それは疲れてしまいそうです。

 

そうなんです。

なので、コマメにオンオフさせるより、つけっぱなしにしてもらえた方が、我々にとって都合が良かったりもするのです。

確か、省エネ的なことでも、こう、オンオフする電力の方が大きいので、つけっぱなしの方がいいみたいなことを聴いたことがあります。

 

─そうなんですか、それは初耳ですね。

 僕も今後、気をつけたいと思います。

 

お願いします。

電気を大切にする前に、電化製品を大切にしてください。

我々にとって電気というのは人間でいう血液みたいなものです。

電気を大切に、というフレーズをよく耳にしますが、電気だけを大切にすることはできません。

血液を大切にするにはまず、体全体に気を配る事が大事ですよね。

それと同じです。

電気を大切にするのなら、それを司る電化製品を大切に扱ってください。

そうすれば、自然と電気の消費量が減ったり消耗が減ったりして、大切にすることにつながります。

 

 

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(真剣な面持ちで佇む蛍光灯さん)

 

 

─なんだか、急に真面目になりましたね。

 目からウロコの気配を感じました。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。

 蛍光灯さんは何故そんなにも輝けるのでしょうか。

 光の仕組みについて、教えてください。

 

そうですね、いろいろな要素が絡み合っていて一言では言いづらいのですが、あえて言ってしまうなら、才能、ですかね。

輝ける才能があるからこそ、輝ける、という事です。

馬鹿にでもわかるような話なのですが、輝く事のできない連中はこれでは納得しないんですよ。

妬んでいるのでしょうね。

まぁ、我々はそんな妬んでる奴らにも等しくあたたかい光を提供しますけど。

なぜならそれが我々蛍光灯の、生まれてきた意味、ですから。

 

─なるほど〜。

 蛍光灯のスイッチを入れると蛍光灯内部に電子が飛び出して、その電子が蛍光灯の中にある水銀

 原子という物質にぶつかって紫外線を出し、そしてその紫外線が蛍光灯の内部に塗ってある蛍光

 物質に当たって光が目に見える、ということなんですね。

 よくわかりました、ありがとうございます。

 

えっ…、あれ…?

 

─寿命が来たときについて、教えてください。

 

あっ…はい、ええと、つまり、完全な死ですね。

もう終わりです。

誰にも助けられません。

所詮は我々も使い捨ての消耗品なのです。

 

─そろそろ寿命がくる、いわゆる蛍光灯が切れる、という状態になるのは、蛍光灯さん自身にもわ

 かるのでしょうか?

 

それはもちろんわかります。

ある程度、寿命も決まっていますし。

段々光の量が減ってきたり、ガラスが黄ばんできたりして、老化していきます。

ずっと使用していると気付きませんが、やはり新しいものに変えたときに、その差はくっきり現れますね。

若い、生まれたての光というのは、誰にも勝てません。

同じ蛍光灯の我々から見ても、新しい光というのはまぶしいものです。

そして、自分にもそんなときがあったんだな、と思い出すのです。

どんなに徳を積んだ老人のありがたい言葉も、生まれたての赤ん坊の笑顔には勝てません。

 

─ははぁ、なるほど。

 それでは、もうすぐ寿命が来る、と感じ始めたときはどんな気持ちになるのでしょうか。

 

わりとあっさりしていますね。

老人に死が迫っても発狂しないのと同じで、すんなり受け入れています。

もちろん悲しいし、恐いことでもありますが、新しい光なんかを見てると、もう自分自身はいなくても大丈夫なんだ、という気持ちになりますし。

まあでも、人によっては死ぬのが恐くてボケてしまう人もいますね。

わしゃまだがんばれるんじゃい!

みたいな人です。

まだまだ輝けてるじゃろ?

みたいな人ですね。

そいう人はわりと他の蛍光灯よりも早めにチカチカしてきます。

それで、余計に早く取り替えられちゃったりするんです。

まあ、自業自得と言いますか。

ちょっと見ていると切ないんですけどね。

まだ働けるよぉー!って老いぼれが無理して体を動かして骨折したり病気になったりする感じです。

老人は老人らしくゆっくりとした時間の中で終わりを待つべきなのです。

そうすれば、自然なタイミングでふっと消えることができます。

 

─あの切れる間際のチカチカした蛍光灯さんは、そんな状態だったのですね。

 

はい、夏だから例に出しますが、地面にのたうち回ってる蝉と同じですね。

まだ俺は!まだ俺はやれる!せっかく生まれてきたのにこのまま死にたくない!死にたくないッ…って…。

アピールするから逆に殺されてしまったりするでしょう。

なんというか、残酷な世の中です。

 

 

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(沈痛な面持ちで世を憂う蛍光灯さん)

 

 

─わかりやすい例えですね、ありがとうございます。

 それではそろそろ、単発質問の方に入らせていただきます。

 アーユーレディ?

 

お…?

おぉー!

 

─光ってる時は何を考えていますか?

 

恍惚状態です。

誉れ(ほまれ)です。

 

─消えている時は何を考えていますか?

 

エッチなことを考えています。

まぁ、恍惚状態です。

 

─将来の夢は?

 

人間の目をつぶせるほど強力な光を発したいですね。

兵器としての我々でしょうか。

それになりたいです。

 

─物騒ですね、最低です。

 

……。

 

─生まれ変わるとしたら何になりたい?

 

UFOですね。

空に浮かんでぴかぴか光りたいです。

 

─現在、蛍光灯に照らされてる方に一言。

 

光加減、どうですか?

 

─蛍光灯に照らされていない方に一言。

 

電気つけて〜。

 

─以上になります、本日はありがとうございました!

 

ありがとうございました!

 

 

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(…ワレワレハ…、ヒカリ…。)