2013.06.22
GRAPEVINE 「1977」
ここでは私が好きなもの、音楽や漫画や本や映画など……
ゆるやかに紹介していくコーナーです。
気の向くままに書きたい作品をつらつらと書いていこうと思います。
とはいっても幅広くいろんな作品を、という感じではなく狭い範囲ですが…。
なので、おそらく、いくつか決まった人の作品について、話すと思います。
今回紹介したい作品はGRAPEVINEというバンドの 「1977」という曲です。
アルバム「愚かな者の語ること」の先行シングルとして2013年4月10日にタワーレコード限定のシングルとして発売されました。
「1977」というタイトルの由来は下記のように書かれています。
アメリカのロックバンドであるNRBQの「Ridin’in my car」をフィーチャーした楽曲であり、歌詞にも同曲のタイトルが登場する。楽曲のタイトルである「1977」も、「Ridin’in my car」の発表年が1977年だったことに由来する。
-wikipedia より引用 http://ja.wikipedia.org/wiki/1977
ちなみにここで出てくるNRBQの「Ridin’in my car」はコチラになります↓
フィーチャーした、と書かれていますがフィーチャーとはなんなのかよくわかりません。汗
曲は核となるピアノのコード弾きとドラムで始まります。
メロトロンのほわほわした音がやわらかさというか、水の流れみたいな音を出しています。
このメロトロンの音が終止鳴っていて、曲全体をやわらかくしている気がします。
イントロから流れるように声が入ってきます。
ボーカルの田中さんの声はわりと軽く歌ってるように聞こえますが、実はかなりしっかりと芯のある声で歌っています。
軽いけど、強い、みたいな感じです。
肩の力の抜き具合がうまいのだと思います。
空手をやってる人間が軽くパンチしただけでも痛い、みたいなそんな感じでしょうか。
一番はAメロが終わるとサビに入るという、シンプルな構造になっています。
アコースティックギターのディレイが爽やかな感じを出しています。
Aメロから目立って変わるのがコードとメロディくらいで、かなりあっさりした印象です。
あさっりしていることで声の強さが引き立ちます、いいですね。
歌詞はわりと、少し寂しい感じです。
「愛してた」とか「最後の」とか、終わりを連想させるフレーズが続きます。
一番のサビが終わるとベースがずーんと入ってきます。
また、ギターのフィードバックが入ってきたりして、あっさりした空間がだんだん埋まってきます。
サビではボーカルに下のハモりがついてきたり、ちょっと歪んだギターの弦2本か3本くらいで弾いてるっぽいフレーズが入ってきたり、しっかりと重みのある雰囲気で盛り上がってきます。
歌詞では「大団円はない」と言っておきながらも、でもどうにかなんねえのか、的なことを言っています。
諦めてはいるけど、少しくらい想わせてくれみたいな、ことを言っている気がします。
間奏ではギターのフィードバックとピアノのループが続きます。
このピアノがなんでか切ない感じがするのはなぜでしょうか。
途中からドラムがライドに変わるところで入ってくるギターのアルペジオも、シンプルでやわらかいフレーズでやさしい感じです。
静かな部分になって、ここで「Ridin’in my car」が出てきます。
(歌詞見ずに聴いていたのでこの部分が何言ってるのかずっとわからなかった…)
映像ですが、このあたりから田中氏の顔がくちゃくちゃにされ始めます。
サビが終わったあとのアウトロで鳴るフルート(?)みたいな音がかなり良い感じで、良い意味で間の抜けた印象を醸し出しています。
大人の切なさに付随する滑稽さ、みたいなものが出てると想います。
そしてドラムとメロトロンで曲が終わり、映像では手が寂しそうにしています。
と、なんというか、曲の構造的な解説になってしまった。
曲の全体的な印象は、とてもさわやかで、新緑という感じがします。
輝きのある緑色のような、水色のような。
寂しさとか切なさとかを孕んでいるのに、寒くない暖かい感じです。
メロトロンがなかったらかなり色のない寒い印象になってたと思います。
スネアの音も暖かくてやわらかいくて素敵です。
歌詞では別れや終わりを示していると思うのですが、単純な寂しさや悲しさではなくて、諦めの含んでいて、言ってしまえば「なげやり」だったり「どうでもよさ」みたいなものがあります。
でもこの「なげやり」や「どうでもよさ」は、本心ではなく、頭で思っていることなのでしょう。
そういう、感情や本心を曖昧にしたり誤摩化したりするちょっとしたずるさも感じられます。
でも、憎めない。
嫌味がない。
気持ちは悲しいけど、すごくいい風が吹いてる、みたいな感覚になります。
そういった、自分の気持ちと外の世界との無関係さみたいなものも含まれているのでしょう。か。
といった感じの、すごく素敵な曲です。
歌詞全文 (uta-net.com)
http://www.uta-net.com/song/145453/