2013.07.24

ハンガーさん

どうもこんにちは、小鳥チュンの助です。

 

みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 

本日のインタビューはあらゆる洋服の心の友、ハンガーさんです。

みなさんもご存知かと思います、一家にいくつも備えられている国民的アイテム。

生活していくうちにいつのまにか減ったり増えたりするハンガーさん。

その肩にかけられた服はもう幾億にも及ぶほど。

彼らがいなくてはどんなに天気が良くても濡れた服は永遠に乾きません。

大量に生み出される彼らの秘密とその素顔に迫っていきたいと思います。

 

 

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(インタビューを待ち受けるハンガーさん) 

 

 

─こんにちは、本日はよろしくお願いします!

 

ちわっす!

よろしくお願いしまっす!

 

─おっ元気がいいですね。

 

夏ですからね!

天気が良い日が続いてテンション上がっちゃって。

 

─なるほど、今日はじゃあアゲアゲな感じでいきましょう!

 

ッス..。

 

─(あれ…?汗)

 それではですね、本日は主に服を乾かすという点についてフォーカスして聞いていきたいと思います。

 それでは、まずハンガーさんの日常について、教えてください。

 

もうみなさんのご存知の通りですよね。

洋服をひっかけたり、洗濯物を干すアイテムの代名詞の我々です。

なんというか、僕たちに干せないものはない、っていうぐらいなんでも干しますね。

上着からズボンから靴下からネクタイまで、なんでも。

もうほんと、なんでも。

 

─洋服を乾かしてるときはどんな気分なのでしょうか。

 

やっぱり天気の良い日は、こう、気持ちいいですね。

服がおもしろいくらい乾いていくんですよ。

風があったりするとさらにグッドですね。

でも、アレです、雨の日とか、部屋干しされているとき。

まったく乾かなくて時間が流れてないんじゃないかと思います。

意味ねえなって、ずっと思ってます。

あと臭いし。

臭いのをずっとかけられてると死にたくなりますね。

あと冬は寒いっす。

たまに一晩ほったらかしにされると凍りつきます。

冬の朝日はきれいで気持ちいいんですけど。

 

─なるほど、やはり雨の日や部屋干しはハンガーさんにとってもきついものなのですね。

 

そうっすね。

最近だと乾燥機能ついてる浴室とかあって、それでも一応乾くことは乾くんですけど、やっぱりお日様にはかないませんね。

あの気持ちよさ、ハンパないです。

洋服も生きてるんじゃないかって思います。

ほら、ほとんどの生き物には太陽の光が必要じゃないですか。

太陽浴びてると、洋服が生き生きしてくるのを感じるんですよね。

 

─洋服も生きている、ですか。

 なるほど。

 それでは、ハンガーさんの生きがいについて、聞かせてください。

 

そうですね、モノをしっかりと引っ掛け続けることですかね。

たまに肩口の広い服なんかがあって、ズレると落ちちゃうんですけど、そういう服を、こう、ナンノソノ!ってしっかりと捕まえ続けることですかね。

あと、風。

風は僕たちの最大の味方であり、そして敵なんです。

その風から自分たち、ひいては洋服の命を守ることが使命であり、生きがいです。

 

─敵というのは、どういうことでしょうか。

 

洋服を乾かすのに風はとても効果的なものですが、強すぎると我々ハンガーともども飛ばされてしまいます。

物干竿にかかってる場合ですが、こう、つつーと滑っていくんですよね。

それで、止まるところがなかったり突風が吹いたりすると、そのままフワッと飛ばされてしまう。

洗濯バサミとか、物干し台の端っことかで止まるとこができれば一命は取り留められますけど、それでも、何枚もそこに溜まっちゃうと乾かなかったりします。

なんと言えばいいんでしょうか。

腹八分目ならぬ、風八分目っていう感じでしょうか。

 

 

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(「風がないとそれはそれでこまりますけど」、とハンガーさん)

 

 

─なるほど。

 実際に飛ばされてしまったことはありますか?

 

あります。

何度も飛ばされますね。

でも、僕なんかは運がよくて、ちゃんと拾ってもらえてます。

運の悪いハンガーは、もう手の届かないところに落ちちゃったり、見つからない場所に飛ばされたりして、永遠の孤独を味わうことになります。

かけられてる服と一緒に飛ばされる場合もありますが、僕たちはそれを駆け落ちと呼んでいます。

あの洋服と二人きりになりたかったんだなって、思うことにしてます。

そうでも思わないと、悔やんでも悔やみきれないので。

あと、僕たちの特性なんですが、大量に用意されてる場合が多いので、あまり個々のハンガーは大切にされないんですよね。

素材にもよりますが、そこまで丈夫に作られてるわけでもないですし。

 

─素材について、教えてください。

 

最近だとプラスチックが主流になってきていますが、金属だったり木製のものだったり、あとエコに配慮した紙製のハンガーなんかもありますね。

紙製のものが出た時はちょっと、頭いいなって、思いました。

お店なんかに置かれるハンガーは、別にモノを乾かすためじゃなくてディスプレイのためにあるものですから、水に弱くてもいいんですね。

それと、捨てられてしまう場合が多いので、そういった場合も紙の方が処理もしやすい。

家庭で出回ることはないと思いますが、紙製ハンガーはナイスだと思っています。

 

─紙のハンガーですか、確かに聴いたことありませんね。

 それでは、ハンガーさんの仲間について、教えてください。

 

僕たちの仲間はやっぱり、太陽と風、ですかね……。

というのは冗談なんスけど、仲間の代表としては洗濯バサミがいっぱいついてるヤツですね。

あれ、名前なんて言うか知ってます?

「ピンチハンガー」っていうんですよ。

カッコいいでしょ。

あいつら一度にいくつも干せるから、尊敬してますね。

大変そうですけど、いつも頑張ってる姿見て、えらいなって、思ってます。

 

 

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(照れるピンチハンガー氏)

 

 

─ピンチハンガーですか、確かにあれは便利ですね。

 僕もよく使ってますよ。

 

僕たちふつうのハンガーとピンチハンガー、どっちが便利ですか?

 

─えっ?

 

いや、小鳥さん的にはどっちがお好みなのかなって。

 

─そうですね……。

 ハンガーさんには申し訳ないのですが、やっぱりいっぱい干せるピンチさんの方が便利ですね。

 

えっ?

 

─えっ?

 

すみません、ちょっと目にゴミが入ってて聴こえなかったのでもう一度いいですか?

 

─えっはい、ピンチハンガーさんの方が便利かなって思います。

 

次の質問お願いします。

 

 

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(拗ねるハンガーさん)

 

 

─あっえーと、それでは、ですね、サクサクいきたいと思います。

 ハンガーさんにとって、幸せな時間とは?

 

乾かしてるときや洋服を引っ掛けられてるときはもちろん幸せなんですけど、もっと幸せなときがあって。

それは、他のハンガーとぴったりくっついてるときですね。

お店なんかでまとめて売られてるときの状態なんですが、あの感じが一番幸せです。

誰かに触れられてるときっていうのは、やはり幸せですよね。

 

─苦手なものは?

 

さっきも言いましたが、肩口の広い洋服ですね。

気を遣っちゃうんですよ。

バランス崩すとすぐこぼれちゃうし。

僕なんかはプラスチックでできてるので、するする落ちちゃいますね。

滑り止めがついてるハンガーなんかは、そういう点でうらやましいです。

 

─悲しいときは?

 

雑に扱われるときと、放置されてるときですね。

多分どこかから飛ばされてきたのでしょうが、屋根の上でぽつんとしてる仲間を見たことがあって。

そういうのを見ると、胸が痛くなります。

ハートブレイク・オブ・マイハンガー、です。

 

─ハンガーさんの夢は?

 

そうですね、特にないですね。

日常がこのまま続けばいいと思ってます。

いろんな洋服を引っ掛けられて、ボロボロになるまで使ってもらいたいですね。

 

─生まれ変わるなら何になりたいですか?

 

洗濯バサミがいっぱいついてるアイツになりたいです。

 

─読者の方に一言。

 

雨が降ったらモノ干すな!

 

─仲間のハンガーにひとこと。

 

雨が止むまで一緒にいよう。

 

─ありがとうございました!

 

ありがとうございますた!

 

 

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(おつかれさまのハンガーさん)